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John Coltrane – Coltrane Jazz (1961)

 John Coltraneによる1961年の本作は、彼のアトランティック・レーベルにおけるディスコグラフィの中では『Giant Steps』と『My Favorite Things』という2枚の傑作に挟まれるようにして発表されたアルバムだ。サックスの技術の粋を極めた前者や、スピリチュアルな神々しささえ湛える後者と比較されるのは分が悪いと思う人がいても不思議ではない。しかし、心地よくメロディアスなスタンダードや、静かに燃えるようなアドリブへの求道心といったColtraneの音楽を構成するいろいろな要素が、等身大のかたちでこのLPの中に収められている。本作を『Coltrane Jazz』と銘打った理由は、まさにそこにある。
 1曲目はWynton Kellyの軽やかなピアノで導入された「Little Old Lady」で、Coltraneは力みなく理想的なスイングを聴かせる。「Village Blues」も典型的なブルースだが、McCoy TynerとElvin Jonesを擁したカルテット編成で録音された重要なナンバーだ。「Like Sonny」もまた語り草となった一曲で、Sonny Rollinsが吹いたソロのフレーズをラテン風に拡大解釈して生まれた、まっすぐなリスペクトにあふれるトリビュート音楽の傑作である。「I'll Wait And Pray」はColtrane節がさく裂する美しいバラードだ。一方、4分の3拍子の「Harmonique」における、飛び跳ねるように音程が行き来するテーマの外連味はどうだろう。
 『Coltrane Jazz』はその名の通りColtrane音楽の典型を知るにはもってこいの一枚だが、意外なシーンに影響を与えもした。アルゼンチン・モダン・ジャズの開拓者であるJorge López Ruizはリアルタイムで本作に反応を示した一人で、自身の初リーダー作『B.A. Jazz』の中で「Like Sonny」と「Village Blues」の2曲をさっそく取り上げている。