Lionel Hampton All Stars – The "Original" Star Dust (1962)
Lionel Hamptonは1930年代のスイング・ジャズにヴィブラフォンを先駆けて導入した。ドラマー出身だった彼のプレイ・スタイルはダイナミズムとグルーヴ感覚、そしてなにより華々しさがあふれており、自身だけでなくヴァイブという楽器そのものをジャズ・オーケストラの花形にまで押し上げた。
1947年のパサデナ公会堂で録音されたこのライブ盤は、スイング時代のきらめきと後のモダン・ジャズに通じる美学を感じ取ることができる。
何をおいても、Hoagy CarmichaelとMitchell Parishが書いたスタンダード「Star Dust」の演奏に尽きるといっていいだろう。名手Slam Stewartのシンプルなアルコのリズムがキーである。Willie Smith、Charlie Shavers、Corky Corcoranのホーンの持ち味も三様で、特にトランペットのShaversが生み出すムーディーな雰囲気と、時おり生まれるハッとするようなひらめきは聴く者の心に深く残る。Barney KesselとTommy Toddのソロの後にラストを飾ったHamptonのヴァイブは、ブルース然としたエモーションの中にクラシックのような優雅さが自然と溶け込んでいる。まさに独擅場と呼ぶにふさわしいプレイだ。
Hamptonは参加していないものの、スイングのピュアな楽しさが最も表れているのは「One O'Clock Jump」だ。ここではKesselの軽快なギターが冴えており、一方「The Man I Love」のような穏やかなナンバーでは観客の笑い声も起こっている。
Hamptonの黄金期は、40年代の前半やBenny Goodman楽団の時代が先に挙がるべきだろうが、本作の「Star Dust」は、この一曲だけでもこれらの諸作品に匹敵する価値がある。