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Arnett Cobb – Chittlin' Shout (1988)

 Arnett Cobbは40年代から50年代にかけて背骨の手術や交通事故などでたびたびキャリアを中断していたが、そうした体の不調でさえも彼からあの力強いブロウを奪うことはできなかった。プレスティッジに多くの名演を残した後は地元のテキサスに活動の場を移した。
 彼の最晩年まで陽の目を見てこなかった『Chittlin' Shout』のセッションは、70年代の初頭に残された断片的な録音をまとめたものだが、Clarence HollmanのギターやCarl LottとMalcolm Pinsonのドラムが生み出すファンキーなテイストで一貫している。南部の円熟したプレーヤーたちが繰り広げる熱気に満ちた演奏は官能的でさえある。
 Jimmy Fordのアルトと息の合ったアンサンブルが聴きものの「Chittlin' Shout」は本作を象徴する一曲だ。「Bobby's Blues」はデューク・レーベル時代のBobby "Blue" Blandのナンバーで、当時録音にも参加していたHollmanにとっては思い出深い歌でもある。本作では見事なジャズ・ファンクに生まれ変わっており、ギターのバッキングにも思わず熱が入る。
また、エキサイティングなセットの中でいぶし銀に光るのはゆったりとしたブルース「Wake Up, M.F.」でのJoe Gallardoのピアノや、「Doxie」や「I Stand Alone」を陽気に彩るHenrique Martinezのパーカッションだ。
 『Chittlin' Shout』から飛び出すのは、ニューヨークの都会から南部のクラブに里帰りしたような、いなたくも心地よいサウンドだ。Cobbのサックスの本質を知るうえで本作は欠かせないアルバムである。