War – Why Can't We Be Friends? (1975)
シンガーEric Burdonのサポートを見事にこなし、バンド単体でも『The World Is A Ghetto』のような傑作を放って成功したWarだが、1974年頃はマネージャーとの確執もあって思うように活動ができない時期でもあった。それを打ち破って発表した『Why Can't We Be Friends?』は、ラテンやロックといった多彩な音楽性を持ち味としていた彼らの最高傑作と呼ぶにふさわしい一枚で、アルバムはもちろんシングル「Low Rider」としても商業的な大成功を収めた作品である。
内容は決して暗くない。「Why Can't We Be Friends」は他人種間に生まれる軋轢をかつてのSly Stoneばりに陽気に歌い飛ばした一曲である。他にもWarはまるでジャグリングのようにバラエティに富んだビートを繰り出し、7分半に及ぶファンク「Heartbeat」の後には「Leroy's Latin Lament」という4部構成の熱狂的なラテン組曲を放つ。前述の「Why Can't We Be Friends」が底抜けに明るいのも、レゲエのリズムと黒人音楽らしい賑やかなコーラスを見事に折衷しているからだ。
「Low Rider」はB.B. Dickersonのどっしりとしたベース・ラインとCharles Millerのクセになる歌が絶妙な恍惚感を生み、USビルボードだけでなくイギリスでもヒットを記録した。また多くの映画のサウンドトラックにも登場する人気曲でもある。
Warは暴動や戦争による混乱の中でも陽気さを失うことはなかった。発表当時も高い評価を受け、90年代以降のDJもこぞって彼らのサウンドをサンプリングしたが、それに関係なくこのアルバムは第一級のクラシックである。