Howlin' Wolf – Change My Way (1975)
『Change My Way』はHowlin' Wolfの最晩年に発表されたアルバムだが、実際の内容は彼のキャリア中期のコンピレーションである。『The Real Folk Blues』のようなシングル集の続編といった趣きで、Wolfの迫力に満ちたボーカルはもちろんのこと、Hubert Sumlinの鋭いギター、Eddie ShawやAbb Lockeといった重厚なホーンが冴えた名演が目白押しとなっている。これを一枚聴くだけでも、Wolfというブルースマンがいかに充実したバンドを従えていたかを実感できるだろう。
「Mr. Airplane Man」は1930年代から存在する古典ブルース(Bluebird Blues)を、Wolf流のリフと現代的なセンスの詞で解釈したナンバーだ。「New Crawlin' King Snake」もタイトルこそブルース・ファンの耳になじんでいるが、Shawを擁したサックスとWolfの強力なボーカルが見事にからみ合って無二の個性が生まれている。
60年代前半に録音された「Love Me Darlin'」や「Hidden Charms」は、もはやハード・ブルース・ロックと言っても過言ではない。前者はSam Layのドラムがイントロからけたたましいビートで突き進み、後者はリフこそポップで軽快なシャッフルだが、Wolfの粋な掛け声のあとに、Sumlinが一世一代のギター・ソロを聴かせる。
「Just Like I Treat You」では、あまり目立たないものの、Wolfのスライド・ギターのプレイを聴くこともできる。そしてそれと同じくらい印象的なのは、スローなタイトル・トラック「Change My Way」におけるすがるような情念に満ちたWolfの歌声とハープだ。