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Oscar Pettiford – Volume 2 (1955)

 Oscar Pettifordはビバップの音楽的発展に貢献した人物であることもさることながら、有望な新人Julian "Cannonball" Adderleyを発掘した音楽監督でもあり、本作に収録された名曲「Bohemia After Dark」を生んだ優秀な作曲家でもある。この曲やAdderleyにまつわるドラマを知るには、本作の姉妹篇とも言うべきKenny Clarkeの『Bohemia After Dark』がおススメだが、プレイヤーとしてのPettifordを堪能するならベツレヘム・レーベル時代のレコードはどれも外せない。
 Pettifordのベツレヘム第作である『Volume 2』は、あまり多いとは言えない彼のリーダー作の中でも特に幅広い音楽のエッセンスが詰め込まれた一枚である。特に目を惹くのはハード・バップの先駆となった「Bohemia After Dark」の自作自演バージョンで、Pettifordの〈ついて来い〉と言わんばかりのベースの導入からGigi Gryce、Bob Brookmeyer、Donald ByrdそしてJerome Richardsonといった充実のプレイヤーがしのぎを削る。〈ボヘミア〉というのはPettifordのバンドが出演していたカフェのことで、55年当時は最先端のジャズ・シーンが生まれるスポットとして知られていた。カリプソ・ナンバー「Oscalypso」の持つ緊張感、「Another One」に流れる穏やかだがクールな雰囲気は特に際立っている。Don Abneyのピアノを伴って演奏される「Star Dust」はPettifordのリリシズムの真骨頂だ。