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The Electric Toilet – In The Hands Of Karma (1970)
メンフィス産サイケ・ロックの激レア盤。本作のジャケットにはインパクト特大のアートワークと、〈まずは3回聴いてから判断してくれ〉という趣旨の文言がしたためられているのだが、The Electric Toiletの『In The Hands Of Karma』は確かに三聴の価値以上のものがある。
The Electric Toiletはメンバーの事故死によって早くに活動を停止してしまったと言われているが、本作に収録された「Within Your State Of Mind」が多くのアングラ・ロック・ファンの琴線を刺激したことで、一定の再評価を得てきたグループといえる。クラウト・ロックやIron Butterflyを思わせる催眠じみたリズムを中心としながらブルージーなギターとオルガンが優れたアンサンブルを作り出していくのだが、意外にも前半では洗練されたソウル感のあるボーカルも聴きどころとなっている。8分という時間が短く感じる特筆すべき一曲だ。
他の同様のサイケ・バンドとThe Electric Toiletの大きな違いは、ヘヴィなブルース「Revelations」や「Goodbye My Darling」などでフィーチャーされているゴスペル調の熱いコーラスだ。タイトル・トラックの「In The Hands Of Karma」でも妖しい女声コーラスが聴けるのだが、こちらはチェンバロを導入したバロック・ポップに仕上がっているためか全く趣を異にしている。
サイケ・ファンの中には本作のB面を無視してしまう者も少なくないが、それはギターを中心としたスワンプ・ロックを展開しているからだろう。「Mississippi Hippie」と「Don't Climb Nobody Else's Ladder」はテネシーという土地柄がよく表れた実に南部らしいブルースである。特に後者は「Within Your State Of Mind」と同じLPに収録されたとは思えないシンプルなブギーだ。