James Mason – Rhythm Of Life (1977)
熱烈なレアグルーヴ・ファンたちにより長年称えられてきたおかげで、James Masonの唯一のアルバムである本作は、膨大なファンクの歴史に埋もれることなく聴き継がれて来ている。Masonがレアグルーヴの人脈の中でもたどり着きやすい部類なのは、Roy Ayers作品のギタリスト(特に『Lifetime』収録の「Running Away」のソリッドなギターが素晴らしい)としても広く知られているからだ。
70年代にしてアシッド・ジャズの時代を予見していたと評価されるサウンドは、ジャズファンクというジャンルの範疇を超えて聴く者の耳に届く。ドロついたグルーヴとMasonの存在感を持ったギター、美しいシンセの後にはClarice Taylorのボーカルにバトンタッチする。一曲目を飾ったこの「Sweet Power Your Embrace」の曲の展開を聴けば、大抵のリスナーはこのアルバムを信頼してしまうに違いない。
タイトル曲である「Rhythm Of Life」は駆け抜けるようなスピードのファンクだ。Gene Torresのベースはフュージョン張りの疾走感を見せ、Roy Ayers Ubiquityでも共演した旧知のプレイヤーであるJusto Almarioのサックスも聴きものだ。「Hey Hey Hey」ではMason本人のボーカルを聴くこともできる。
『Rhythm Of Life』はレアグルーヴの精神を体現するような存在としてファンに愛され続けている。2015年には幻の未発表音源が登場し、多くの人を驚かせた。