B.B. King – My Kind Of Blues (1961)
R&Bのクラシック・アルバムにはよくあることだが、このB.B. Kingの傑作は1958年のシカゴ録音とも1960年のLA録音とも言われている。しかしそんなことは些細な問題だ。重要なのは、日々のツアーに追われる当時のB.B.が現代ブルース界で最も忙しい男だったこと、そしてロックンロールの出現によって、人種や音楽ジャンルといったあらゆる垣根が打ち壊されようとしていた激動の時代に『My Kind Of Blues』が生まれたということである。
それを踏まえてみれば、本作ほど威風堂々としたブルースは存在しない。分厚いホーンも、ましてやストリングスもまとわず、ピアノと最小限のリズム隊だけを従えたB.B.のギター・ボーカルには自信としゃくしゃくたる余裕が満ちている。「Driving Wheel」は同時期にJunior ParkerがR&Bチャートに送り込んだ名曲なのだが、ここでのB.B.はシンプルで力強いギター・サウンドで勝負に出ている。Mike BloomfieldやElvin Bishopといった後進のロック・ギタリストに影響を与えたのはまさにこの音なのだ。
おなじみの都会的なスタイルの「You Done Lost Your Good Thing Now」から、うっとりするバラード「Understand」が並ぶ。そしていつになく荒々しいB.B.のシャウトが聴けるカントリー・ブルースの「Cat Fish Blues」まで、いずれも納得のいく仕上がりだ。
周囲の状況は渦のような変化を迎えていたが、それでも王者のサウンドが揺らぐことはなかった。事実B.B.は本作を振り返って、最も理想に近いブルースであると述べている。