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The Osmonds – Phase III (1972)
カントリー・ゴスペルの分野からキャリアをスタートさせたThe Osmond Brothersは60年代からショー・ビジネスの世界で活躍し、TV番組にも多数出演していた。やがてThe Jackson 5スタイルのポップ・ソウルを身につけ、グループ名もThe Osmondsと改めると「One Bad Apple」のヒットで大きな成功をおさめた。
彼らの3枚目のアルバム『Phase III』は重厚でファンキーなロックとしてのブレイクスルーになり、時代とともに作風が変化していったなかでも特筆に値する一枚である。たとえば同年発表の傑作ライブ盤は、統率の完璧に取れた内容でこの時期のThe Osmondsの最も理想的なバランスを保っていたが、それは本作のサウンドに由来するものだ。「Down By The Lazy River」はリードを執るMerrill Osmondのソウルフルなボーカルにうまくハマっている。ほかにも彼は「Don't Panic」の忘れがたいフェードアウトの部分で、実に熱っぽいシャウターの顔をうかがわせる。MerrillとDonnyのデュエットは「Yo-Yo」で最高点をむかえていて、兄のAlanらも交えたコーラスの妙味は、ほかの誰にもマネできない。この曲は「Down By The Lazy River」とともにビルボードの上位に入り、ゴールド・ディスクにも認定された。
聴きどころはそれにとどまらない。Pファンク風の「Business」や、Led Zeppelinのヘヴィ級アンサンブルを思わせる「My Drum」、そしてモータウンの洗練を自分たちのものにしてみせた「In The Rest Of My Life」。いくつもの音楽の魔法は一人の歌手なら到底もて余してしまうだろうが、見かけよりはるかにベテランである彼らの密接なコーラス・ワークにかかれば、それらはたちまち現実のものになる。