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The Youngbloods – Ride The Wind (1971)

 名ライターJesse Colin Youngを擁したThe Youngbloodsは60年代の終わりに転換期を迎えている。ギタリストJerry Corbittの脱退や、プロデューサーであるFelix Pappalardiとの決別など、別れは多かったがその分新しい出会いと発見があった。新たなプロデューサーCharlie Danielsは、バンドに名作『Elephant Mountain』の誕生をもたらし、Lowell "Banana" Levingerはマルチなジャズ・プレイヤーとしての才能を開花させている。ライブ・アルバムである『Ride The Wind』はスムース・ジャズ・グループとしてのThe Youngbloodsの到達点であった。
 人員が3人体制に減ったとはいえ、器用なメンバーが揃った彼らにとってはさしたる問題ではない。落ち着きのあるメロディと、ロックとしての抑揚を両立させた「Ride The Wind」が素晴らしい。Youngのキャリアを代表する名曲「Sunlight」は、ベースレスという編成で原曲よりさらにジャジーなアレンジがなされている。興味深いことにこの曲は、ワシントンのローカル・グループThe Washington Appleが本作の前年に同系のアレンジで演奏していた。最も激しい「Beautiful」ではLevingerがファンク風のギターを聴かせる場面もある。
 『Ride The Wind』のプレイは、大胆でありながら奇の衒いがない音楽のアレンジと、守備範囲の広いメンバーの演奏技術が見事なまでに掛け合わされていた。AORの時代の到来を予見したようなサウンドは、後のMark-Almondのような洒脱なシティセンスにも通ずるものがある。