Pete Johnson & Albert Ammons – 8 To The Bar (1941)
Pete Johnsonは1930年代の終わりごろからR&Bの時代を先取りしていたパワフルなピアニストで、カンザス由来のシンプルで陽気なリズムをNYのシーンに持ち込んだ。当時Piney Brownの経営していた店でバーテンダーをしていたBig Joe Turnerとコンビを組み、二人で発表した「Roll 'Em Pete」のレコードは大ヒットして一躍有名になった。さらに、John Hammondの手引きで戦前におけるブギウギ・ブームの火付け役になったのもまたJohnsonだった。その腕前はかのDuke Ellingtonをして〈最高のブギウギ・ピアニスト〉と言わしめたほどだ。
Meade "Lux" LewisやAlbert Ammonsと並んで〈The Boogie Woogie Trio〉と称されたJohnsonが、Ammonsとジョイントして発表したのが『8 To The Bar』だ。〈For Dancing〉とあるように、中身はほぼダンス・パーティー向けのアップ・テンポのブギウギで、AmmonsのバンドのドラマーJimmy Hoskinsのドラムのみをバックに軽快で楽しいコンビネーションを見せる。「Barrel House Boogie」の〈バレルハウス〉とは主に黒人たちがたむろする酒場のことで、高音を繰り返したたき出す特徴的なプレイを聴くと、客の喧騒までもが聴こえてくるようである。「Foot Pedal Boogie」は本作の中でもテンポはゆったりしているが、ラストで畳みかけるピアノの力強さには思わず体を揺らしてしまうだろう。
Johnsonは40年代に本作以外にも多くの録音を残し、LewisとAmmonsらとともにブギウギの一時代を築いたが、後にTurnerとのコンビを復活させて活動した。