Syl Johnson – Is It Because I'm Black (1970)
Syl Johnsonのセカンド『Is It Because I'm Black』は、のちに多く生まれた社会派なニュー・ソウルの先駆けとなった一枚だ。黒人を虐げる世界に対するメッセージを掲げたジャケットはとても印象的で、1970年のどのアルバムのアートワークと比べても、ぞっとするような冷たいイメージをはらんでいる。
当時のJohnsonは結婚生活の破綻やバンドの崩壊によって、公私ともに最悪の時期を迎えていたおりで、本作を制作するためにシカゴの界隈で少しずつ録音のメンバーを探さねばならないほどだった。長く孤独な思索の時間から生まれた痛切な言葉の数々は、ヘヴィで骨太なサウンドによって存分に力を発揮している。タイトル・トラックではベースとドラム以外の要素は最小限に抑えられ、Johnsonがまるで演説のように言葉を紡いでいく。ゲットーを舞台にした「Concrete Reservation」や、「I'm Talking 'Bout Freedom」ではしっとりとしたストリングが美しい。特に後者のJohnsonの情熱的なボーカルには、まさに渇望という言葉がふさわしいだろう。
本作はファンク・アルバムとしてもずば抜けたものがあり、「Right On」ではスタジオ・ライブのような様相のなかでJBばりのシャウトが堪能できる。ほかにもThe Beatlesを巧みにアレンジした「Come Together」や、本作の中では比較的メロウなバラードの「Black Balloons」のような魅力あふれるトラックが含まれている、