Dave Kelly – Keeps It In The Family (1969)
John Dummerのバンドや、The Blues Bandへの参加によりUKロックのファンには知られた存在のDave Kellyだが、デルタブルースへの飽くなき憧れもあり、ファーストアルバムとなった本作は一貫してカントリーブルースの雰囲気に包まれている。若々しいビジュアルとは裏腹に、ギターのサウンドはブルースの渋みそのものだ。
後にLed Zeppelinのバージョンで広く知られるようになった「When The Levee Breaks」は、彼らの登場以前はKansas Joe & Memphis Minnieによる、知る人ぞ知るミシシッピブルースだった。当然ながらKellyは原曲に忠実に歌っている。繊細なスライドギターや、いなたいファルセットにはLeadbellyやBill Broonzyのような、海と時代を越えたアメリカの重鎮たちへの狂おしいまでの憧憬を感じずにはいられない。
共演人もゆかりの顔が並ぶ。姉であるシンガーJo-Ann Kellyはもちろん、Daveのギターと見事に息を合わせるのは、長年の共演経験があるピアニストBob Hallである。シカゴのバンドスタイルが最も浸透している「I've Got My Mojo Working」も、ギターとピアノという最低限の編成で見事なシャッフルを聴かせる。
聴くほどにブルースへの執念やこだわりがにじむ作品だ。「Fred's Worried Life Blues」は、Big Maceoによる「Worried Life Blues」を、ゆかりのあるブルースマンであるFred McDowellのバージョンで歌ったものである。彼に向けたリスペクトの表明であり、Canned Heatにも似たマニア精神の表れとも言えよう。