![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/166780340/rectangle_large_type_2_267c701af2e0a26a6d9a49b93d19605f.png?width=1200)
Osibisa – Wɔyaya (1971)
Osibisaは西側の音楽シーンにアフリカの民族的ビートを持ち込んだグループと目されているが、実はバンドそのものはアフリカ出身と西インド諸島出身の異なる出自のメンバーで構成されており、決して一枚岩の存在というわけではなかった。実際、スタジオでは内紛が日常的に起こり、メンバーは参加と脱退を繰り返すなど、彼らの初期作品の制作は難航を極めた。さらにはブラックパンサー党のメンバーが乗り込み、アフリカの未開的イメージを増長させないよう圧力をかけたこともあった。
彼らの2枚目のアルバム『Wɔyaya』は、前作『Osibisa』のサウンドをさらにロック風に寄せ、商業的にも成功した傑作である。「Rabiatu」は中盤のWendell RichardsonによるギターとRobert Baileyのキーボードのアンサンブルがプログレのジャムを思わせるが、ある時点からはいきなりアフリカ的な力強いビートがサウンドを支配していく。前作同様にジャズ・フュージョンのエッセンスが活きている「Beautiful Seven」や「Y Sharp」のような曲もあり、同時に聴いただけで体が動くようなアフロのリズムも息づいているのが印象的だ。「Spirits Up Above」は曲調こそブルースだが、ブラスとコーラスの重厚さとドラマティックな音楽の展開がこの歌を非凡なものに仕立て上げている。
Osibisaはワールド音楽がもてはやされるようになるずっと前に成功し、4年後には「Sunshine Day」で国際的ヒットを果たした。しかし、ロック・ファンにもリーチした『Wɔyaya』を含む初期のアルバムこそがそれらの基礎であり、後にアフロ・ミュージックがより広くための受け入れられる土壌となったのである。
ℹ️アルバム名『Wɔyaya』の"Ɔ"は"C"の鏡文字に見えるが、これはアフリカにおける"O"の変体字の一種である。