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Sonny Boy Williamson II – The Real Folk Blues (1965)

 AllmansやDr. Feelgoodがコンサートで生み出した熱狂の源流を辿ってみよう。不世出のハープ・プレイヤーであるSonny Boy WilliamsonことRice Millerは、気難しそうな風貌とは裏腹に、ロックンロール世代の若者(特にツアー先のイギリスでは)の間に熱狂的に受け入れられた。彼の素性は謎に包まれた部分が多いが、それが人々の目には却って彼の大きな魅力として映った。
 「One Way Out」は1961年に初めて録音された歌だが、本作に入っている64年の再録版の方が有名かもしれない。若き日のBuddy Guyが参加しており、彼のギターが奏でる印象的なフレーズがThe Allman Brothers Bandのライブでそのまま引き継がれているからだ。この曲は61年のElmo Jamesのバージョンもまた有名で、アップテンポなギター・ブルースの名演としてぜひ聴き比べておきたいところだ。軽快なシャッフルにハスキーな歌が乗る「Checkin' Up On My Baby」は、バックの演奏にOtis SpannやRobert Jr. Lockwoodが参加しており、Millerのキャリア、ひいてはシカゴ・ブルースの中でも最も完成されたスタイルの曲と言える。後にブルース・バンドBlues Creationがカバーしたことでも日本のロック・ファンには馴染み深い一曲だろう。
 Led Zeppelinの『II』で世界的に有名になったのが、Willie Dixonの筆による「Bring It On Home」だ。一度聴くだけでも、Robert Plantがハープだけでなく、その歌い方さえもMillerのスタイルを模倣していたことに気づかされるはずだ。
 1965年の5月にMillerはこの世を去っており、彼の歌を本国アメリカよりも熱狂的に受け入れていたヨーロッパ諸国では、本作は『In Memorium』という追悼盤として発表された。ジャケットに姿こそ映ってはいないが、Millerのトレードマークだった山高帽の佇まいには、まごう方なきブルースの哀愁が漂っている。