見出し画像

Cold Chisel – Circus Animals (1982)

 アメリカでもチャートインした1980年のアルバム『East』の爆発的な成功でさえも、Cold Chiselのハングリーな精神を奪うことはできなかった。ライブ・アルバムを挟んで発表された『Circus Animals』は、彼らがAC/DCとともにオーストラリアのロック・グループを代表する存在であることを改めて証明した作品だ。
 1曲目「You Got Nothing I Want」で、彼らは持たざる者しか持ちえない不遜さを掲げているが、これは再びハード・ロックに立ち返るという宣言でもある。強力なナンバーはさらに続く。バラードのイントロから次第に高まりJimmy BarnesとIan Mossのツイン・ボーカル、そして爆音のギター・ソロで最高潮を迎える展開がもはや芸術的な「Bow River」は、のちに多くのライブのハイライトとなった歌だ。ドラマーのSteve Prestwichが書いた「Forever Now」でのBarnesはこれ以上なく純粋に永遠を歌い上げて見せる。
 最高のバラード・メイカーであるPrestwichは、「When The War Is Over」というさらなる名曲も生み出した。一風変わった構成の歌でありながら、バンドのもう一つの真骨頂であるコーラスが最も活きているのはこの歌であり、Uriah Heepをはじめとした世界中のバンドにカバーもされた。
 硬軟を見事に織り交ぜた隙のない『Circus Animals』は絶賛の嵐を受け、当然のように82年の国内チャートで1位を獲得した。現在でもオーストラリアの重要アルバム・リストに掲載される、真に影響力を持った一枚である。