見出し画像

Mississippi Fred McDowell – Vol. 2 (1966)

 南部のブルースマン、とりわけギタリストは自身のテクニックを盗まれることをおそれたために、後進となるものの多くは演奏の技術を独学で獲得しなければならなかった。若き日のFred McDowellも例外ではなかったが、そうした中でも、本作でMcDowellと共演しているEli "Booster" Greenなる男は、かつて彼にギターやブルースの曲(1stに収録された「Write Me A Few Lines」などがそうだ)を教えたゆかりの人物なのだという。Greenは「Brooks Run Into The Ocean」と「Bull Dog Blues」の2曲に参加しているが、ここでの叩きつけるギターと地響きのようなストンプ、そして力強いボーカルと歌い終わった後の楽しげな雰囲気はまさに圧倒的だ。
 このアルバムから後世へ受け継がれた曲もある。「You Got To Move」はThe Rolling Stonesがアルバム『Sticky Fingers』で採り上げて有名になったナンバーで、聴き比べてみればStonesが原曲の持つアコースティックな味わいとスピリチュアルな雰囲気のいずれにもリスペクトを寄せていることが分かるだろう。このギタリストにゴスペルのコーラスが付くというスタイルは、ラストの「I Wish I Was In Heaven Sitting Down」によく表れている。
 典型的なデルタ・ブルースの「Gravel Road Blues」もある一方、低音とシャウトが活きた「I Ain't Gonna Be Bad No More」やアップ・テンポな「Do My Baby Ever Think Of Me」といった名演は、パワフルなヒル・カントリー・ブルースの原点を示すものだ。