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Bad Brains – Bad Brains (1981)

 2000年代に入ってからPure HellやDeathといった幻のバンドが発掘されている以上、現在ではBad Brainsを単なる〈最初の黒人パンク・バンド〉と褒めたたえる訳にはいかなくなっているのは確かだ。しかし、この4人のラスタファリアンが当時のハードコア・シーンに開けた大きな風穴が、ワシントンに生きる〈300人の白人の中に紛れたたった2人の黒人〉たちをどれだけ勇気づけたかは想像に難くない。
 NYの171-Aスタジオで録音されたアルバム『Bad Brains』は、カセット・テープを専門に制作していたROIRレーベルの最重要作となっただけでなく、アメリカのパンクの常識を覆す1本にもなった。彼らのサウンドとバンド名はRamonesに強く感化されており、それはアルバムのほとんどが3分に満たないトラックで埋まっていることからも分かる。挑発的な意思表明である「Attitude」はそれこそ後のN.W.A.の尊大なラップと同じくらいサマになっているし、「Banned In D.C.」は暴力的なステージの悪評によっていくつかのクラブを出禁になったエピソードから生まれている。最初のシングルである「Pay To Cum!」は彼らが超ハイスピードなスラッシュ・バンドというイメージを決定づけた一曲だ。
 Bad Brainsを真に個性的たらしめているのは、「Leaving Babylon」や「I Luv I Jah」といった本格的なダブ・レゲエのナンバーだ。こうした音楽性の豊かさは、彼らが元々フュージョン志向のテクニカルなグループだったからこそ出来た業でもあった。