NunSlaughter – Goat (2003)
NunSlaughterは1987年の結成以来、常にサタンの忠実なしもべであり続けてきた。ツアー先での記念盤やスプリットなどを精力的に出しているため、彼らの膨大なディスコグラフィーを完璧に把握するのは至難の業だが、2000年代初頭にリベンジ・プロダクションズから発表された一連のアルバム群には、いずれも名作が揃っている。
カルト・バンド、またはメタルの極北と形容されることも多いが、いざ聴いてみれば、NunSlaughterがいかにオールドスクールなアプローチを貫徹しているかが分かるはずだ。トラックのほとんどは3分にも満たず、ボーカルは暴力と悪魔への賛美を伝統的なボーカル・スタイルで吐き出している。サウンドはDuane Morrisのスラッシュ由来のギター・テクニックに裏打ちされており、非常にメロディックだ。
特に興味深いトラックは、当時活動休止中だったPossessedのボーカルJeff Becerraによる歌詞が印象的な「Thou Art In The Kingdom Of Hell」だ。イントロのドラムやミディアムなリフは、Possessedの復活作よりはるかにロウだが、歌詞にあふれるキリストへの冒涜はファースト・アルバムの面影さえうかがわせている。だが本作の真骨頂は、「The Guts Of Christ」や「You Bleed」といった1、2分にも満たないトラックの数々だ。無駄をそぎ落としきった邪悪なメッセージは、リスナーの精神に容赦なく侵入していく。そうなれば誰もが悪魔に頭を垂れざるをえないだろう。