Jimmy Holiday – How Can I Forget: The Everest Sessions (2005)
1962年にエヴェレスト・レーベルから出た最初のシングル「How Can I Forget」が話題となりR&Bチャートの8位にまで上昇した時が、Jimmy Holidayにやってきたシンガーとしての最初のチャンスだった。サザン・ソウルの王道である大仰なタメとパワフルなシャウト、そして泣きのメロディをフィーチャーしたこの名曲はすぐにJerry Wexlerの目にも留まった。エヴェレストの反対にあったために、アトランティックへの引き抜きはあきらめざるを得なかったWexlerだが、代わりに自社の看板歌手であるBen E. Kingが63年に見事なカバー・バージョンをチャートに送り込んでくれた。おかげでWexlerの溜飲はある程度下がったことだろう。
エヴェレストのシングル群はHolidayの初期のキャリアを知るうえでは欠かせない要素だ。ソウルからバラード、ロックンロールまでこなす幅広い彼の才能が詰め込まれているのはこの時代ならではである。「I Lied」は作りこそ典型的なロックンロールだが、Holidayのボーカルとコーラスの狂乱ぶりがリスナーを驚かせる。「I've Got A Woman」はLittle Richard風にアレンジしたコール・アンド・レスポンスが印象的な一曲で、「Janet」や「Allison」はこうしたナンバーの溢れる熱気を包み込んでくれるような優しいバラードである。「Ol' Man River」の堂々としたボーカルなどは、まるで大御所のカントリー歌手のようだ。
Holidayは後にJackie DeShannonらと共作した「Put A Little Love In Your Heart」が大ヒットし、70年代以降はソングライター業に専念するようになった。数少ないHolidayのCDは、彼のシンガーとしてのイメージをしっかりとつなぎとめてくれる。