Otis Spann – The Blues Is Where It's At (1967)
1966年の8月、Muddy Waters Blues BandはNYのクラブでJohn Lee Hookerのバック・バンドを務めた。のちにHookerが〈最高だった〉と語ったこの演奏は、アルバム『Live At Cafe Au-Go-Go』で聴くことができる。そして、それと同じ時期に録音されていた本作『The Blues Is Where It's At』は、Watersのバンド・ピアニストであるOtis Spannがリーダーとなって録音されたステージだ。Spannの自在なスタイルはもちろん、Watersの奏でる巧みなスライド・ギターの妙も味わえる素晴らしい姉妹篇といえる。
すべてのブルース・ファンは、Watersが単なるシンガーでなく史上最高のギタリストでもあることをよく知っている。それは全く異なるスタイルの「Chicago Blues」と「My Home Is In The Delta」に、まさにタイトルの通りに表れている。前者ではシカゴ流のバンド・アンサンブルにぴったりと寄り添い、Spannのピアノと見事なコンビネーションを見せ、50年代のブルースを思わせる後者のイントロには、スライドの音色だけで会場の全ての空気を持って行ってしまうパワーがある。
「Down On Sarah Street」ではソウルフルなSpannの歌にGeorge Smithのハープが応え、Samuel Lawhornのギターは「T'Aint Nobody's Bizness If I Do」を実にロマンチックに仕上げている。真骨頂はラストの「Spann Blues」だ。彼のオハコであるスロー・ブルースは、かつてのニューポートのステージをほうふつとさせながらアルバムを締めくくる。