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Tennessee Ernie Ford – Sixteen Tons (1960)

 アルバム・タイトルにもなった名曲「Sixteen Tons」で知られるErnest Fordは、1955年のヒット以前はカントリー・ブギ・ブームの隆盛を大いに謳歌した歌手の一人である。Jimmy BryantとSpeedy Westという素晴らしいギタリストを大々的にフィーチャーしたブギのサウンドは、Fordのキャラクターである無骨なテネシー男のイメージにピッタリと合うものだった。「The Shot Gun Boogie」は銃声を模したドラムのビートが強く印象に残る一曲である。「Smoky Mountain Boogie」の強烈なギター・プレイを聴けば、先駆者ではないにしても、Fordたちが40年代からロックンロールとほとんど同じようなことをやっていたのが分かるだろう。
 「Sixteen Tons」はもともとMerle Travisが40年代に書いた炭鉱歌のひとつで、当時は話題にならなかったがFordが落ち着きのあるバリトン・ボイスで歌ったことで一躍ヒット曲となった。1日のうちに16トンの石炭を運ぶという炭鉱夫の未来は一見どうしようもないほど暗いが、歌詞の中にはいくらかのユーモアがある。
 Fordの守備範囲は広い。「Milk 'Em In The Mornin' Blues」のようなブルース・スタイルから、コーラスをバックに歌う「Bright Lights And Blonde-Haired Women」の優雅さ。ついでに「Anticipation Blues」ではちょっぴりぎこちないヨーデルも披露している。
 だがそれでも一面に過ぎない。本作が発表される頃には、FordはすでにTV界で活躍するゴスペル歌手として成功していた。