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Little Feat – Dixie Chicken (1973)

 Little FeatはこのアルバムからベースのKenny GradneyとパーカッションのSam Clayton、そしてギタリストとしてPaul Barrereを新たなメンバーとして迎え、サウンドも濃厚なルイジアナ風のファンクへと変化させた。どっしりとしたグルーヴと豪華なコーラスをバックに、Lowell Georgeのスライド・ギターがさらなる冴えを見せる『Dixie Chicken』は、新生Featの音楽性とファンク・ロックのまだ見ぬ地平を開拓した。だがアルバムの出来に対してレーベルのマーケティングは不十分で、当のGeorgeはニワトリの着ぐるみを着ながら各地のラジオ局をフライド・チキンを配って回る、という涙ぐましいプロモーションをこなしていた。
 「Dixie Chicken」はタイトル曲にふさわしい陽気なニューオリンズ・ナンバーで、特にBill Payneがまるでベテランのピアニストのように紡ぐ音色が、この曲をガンボ・ミュージックの傑作に仕立て上げている。アコースティックの「Roll Um Easy」や、後にバンド・メンバーとなるFred Tackettの書いた「Fool Yourself」のようなおだやかなナンバーではこのバンドの深い歌心が味わえる。「Fat Man In The Bathtub」は南部音楽の複雑なリズムとFeatならではのギター・ワークを見事に折衷した指折りの名曲だ。
 Georgeはリーダーとしても進んでいた。バンドの曲の著作権はすべてメンバー間で等分すると決め、レコーディングの際は積極的に音楽のアイデアを募った。BarrereとPayneのペンによるとても渋いブルース・ナンバー「Walkin' All Night」はその成果の一端で、ここでは二人がメインのボーカルも執っている。