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Savoy Brown Blues Band – Shake Down (1967)

 メンバー・チェンジのあまりの多さから、グループというよりKim Simmondsのソロ・プロジェクトとして認識されることも多いSavoy Brownは、66年にブルー・ホライゾンの前身であるパーダというレーベルからデビューした。当初はJohn O'Learyの力強いハープをフィーチャーしていたものの、本作の録音の前に彼が脱退してしまったため、『Shake Down』ではSimmondsとMartin Stoneによるツイン・ギターを押し出している。
 ブルース・ブーム隆盛の波を受けたのもあったが、彼らの演奏能力は確かで、John Lee Hookerがツアーをした際はサポートも任されている。Howlin' Wolfの「I Ain't Superstitious」や「Let Me Love You Baby」の激しいリフは67年としては十分にハードといえるものだった。
 「Rock Me Baby」や「Oh! Pretty Woman」など、ほとんどがヘヴィなブルースの古典で締められる中、「The Doormouse Rides The Rails」というインストを提供したのがStoneで、ここではSimmondsに代わってリード・ギターも弾いている。「Shake 'Em On Down」もトラディショナルなのだが、トレイン・ソングを思わせるような疾走感のあるテンポを取り入れた大胆なアレンジ、とりわけ終始白熱しているギターのやり取りはアルバムの中でも圧巻の出来である。
 Stoneは早々にSavoy Brownを後にしたが、本作の要所で小粋なピアノを聴かせるBob Hallが次作『Getting To The Point』から本格的に参加する。その後バンドはハード・ロック路線を強めたり、アメリカを中心に活動したりと目まぐるしい変化を迎えていくのだが、それは1枚ずつ時系列を追って感じていくのが良いだろう。