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Jaklin – Jaklin (1969)

 1969年のUKブルース・シーンにたった一枚のLPを残したJaklinは、素性や経歴に不明な点が多いために、研究家肌のロック・ファンを昔から悩ませてきた存在だ。だがアルバム『Jaklin』をサポートしているメンツはまぎれもなく腕のあるセッション・マンたちである。ドラマーはJohn Pearson、ベースには後期Rare BirdのメンバーとなるAndy Rae。そして注目すべきは、The Grease BandやWham!のレコーディングに参加し、後にUKジャズの世界で活躍するピアニストのTommy Eyreだ。
 Jaklin自身はハードなブルース・ギタリストであり、スロー・ナンバーの「Song To Katherine」や「I Can't Go On」では情感とサイケを織り交ぜたプレイを聴かせ、「Going Home」ではデルタ風のいなたいシャッフルを披露する実力をうかがわせる。「Catfish Blues」は本作のハイライトのひとつで、Tasteほどの強烈さではないにしろ、非常に思い切りがよく厚みのあるヘヴィ・ロックのリフに仕上がっている。
 こうした古典のアレンジにはEyreの貢献が強く表れていて、特に定番曲「Early In The Morning」は後半にジャジーなセッションを展開する。「The Same For You」はかのAlexis Kornerのカバーだ。また、あまり広く知られたバージョンではないが、ミシシッピの古い労働歌である「Rosie」も同じくKorner版の演奏を下地にしているのが分かるだろう。しかしこの曲も「Early In The Morning」と同じく、後半になるとEyreの力強いピアノ・ソロが本領を発揮する。