![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171331695/rectangle_large_type_2_0e6b03e15ca0d50786077066aed5544a.png?width=1200)
Jimmy Dawkins – Jimmy "Fast Fingers" Dawkins (1969)
60年代のブルース・リバイバルは、大戦中に行方が知れなくなっていった老ブルースマンたちをつぎつぎと再発見した。だがこの時代のもう一つの功績で忘れてはならないのは、気鋭の若手ミュージシャンたちにもスポットが当たるようになったことだ。本作の主人公Jimmy Dawkinsは当時シカゴ・サウスサイドきってのギタリストであり、Sleepy John Estesの電気化にも貢献したデルマーク・レーベルの腕扱きのセッション・マンでもあった。印象的なスタッカートとMagic Samの推薦で、デルマークのオーナーRobert G. Koesterに注目された彼は、本作で見事なリーダー・デビューを果たしている。
〈ファスト・フィンガーズ〉とあだ名された彼だが、決して早弾きだけを信条としていたわけではない。冒頭の「It Serves Me Right To Suffer」はタイトルこそJohn Lee Hookerを連想するが、ブギの解釈そのものは全くモダンで、トーンも力強いオリジナルだ。「Triple Trebles」や「Night Rock」はMagic Samにも劣らないインストで、トレモロを駆使したファンキーなギターがたまらないナンバーである。スローな「Breaking Down」ではEddie ShawのサックスとLafayette Leakeのピアノのサポートを得て、本作でも特にのびのびとしたソロを聴かせてくれる。
すばらしいアートワークにも注目されたい。Zbigniew Jastrzebskiが手掛けた中でも最高傑作と呼ぶにふさわしい、Dawkinsの精悍な姿だ。Dawkinsはこの後シカゴを代表するギタリストとなるだけでなく、〈ブルース・アンリミテッド〉をはじめとした各誌で音楽評論家としても活躍していく。