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The Climax Chicago Blues Band (1969)

 〈Climax〉とはここでは信頼のおけるブランドのようだ。ハーピストのColin Cooperを中心に1968年に結成されたThe Climax Chicago Blues Bandは、後にプログレやディスコ・ポップと様々な作品を発表し、そのたびにグループ名を〈Climax Chicago〉だとか〈Climax Blues Band〉と少しずつ変化させた。彼らが素晴らしいのはいずれの音楽性でも高い質を保ち続けたことで、そのミュージシャンシップは69年のファーストである本作、なんなら1曲目の「Mean Old World」から明らかだった。
 シカゴの重鎮であるBill Broonzyのカバーは、しっかりと地に足のついた(それは程よくラフという意味だ)Pete HaycockのギターとCooperのハープが、Arthur Woodの柔らかなオルガンに彩られている。「Don't Start Me Talkin'」はRice Millerに捧げるブロウが見事で、「Wee Baby Blues」ではアコースティックなアンサンブルの中にチェレスタを織り交ぜるという意外なアイデアが光る。
 オリジナルも注目に値していて、軽快で鋭いスライドが聴きものの「Looking For My Baby」から、一転して「And Lonely」のような大仰なスロー・ブルースを展開する。バンドは次作『Plays On』から次第にジャズ・ロックの様相を深めていくのだが、その萌芽は前述した「Wee Baby Blues」のチェレスタや「And Lonely」におけるハーモニウムの導入に見られていた、といえるかもしれない。