Sylvaine – Silent Chamber, Noisy Heart (2014)
ノルウェーをルーツに持つマルチ奏者Kathrine Shepardによるブラックゲイズ・プロジェクトであるSylvaineの自主製作盤は、マイナーなジャンルかつローカルのリリースにも拘らず成功を収めた。
「Тоска」や「Bien Loin D'ici」で見られるノルディックとオルタナの融合は、自らのルーツミュージックと、現代のバンド・サウンドに対する等しい敬意の表れである。「It Rains In My Heart」では正統派ブラックをバックに、Paul Verlaine(象徴派と呼ばれるフランスの詩人)の詩を歌い上げる、という面白い試みも行っている。Shepardの歌声は美しく清廉で、また気負いもない。アコースティック・ギターとドゥームメタルの同居するサウンドは、インディーズの1stとは思えないほどに手慣れた作りをしている。アルバム名にもなった「Silent Chamber, Noisy Heart」という曲名はまさに本作のコンセプトそのものだ。
のちに数度にわたってリイシューされることとなったこのアルバムで音楽界に現れたSylvaineは、ポストブラックの代表的バンドAlcestによって才能を見いだされ、彼らの2016年の作品『Kodama』にてその歌声をフィーチャーされている。