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Rage Against The Machine – Rage Against The Machine (1992)
RATMはメタル、ラップ、パンクといったさまざまなルーツを持つメンバーが集まって91年に結成されたが、それまではこういった音楽ジャンルのあいだには見えない分断が確実に存在していた。そしてメタルから轟音を、ラップから雄弁さを、パンクからは哲学を授かったバンドは、それらすべてが確かな洞察と知性で統合された、独自のサウンドを完成させた。
過激という概念がそのまま音となって具現化したようなアルバムである。鋭い眼光のラッパーZack de la Rochaはストリート感覚にあふれる言葉を武器に、「Bombtrack」では権威主義に宣戦布告をし、革命を掲げた「Know Your Enemy」ではリスナーたちを魂の戦いへ扇動していく。ギタリストのTommy MorelloはヒステリックなノイズからKornのような重低音のリフまでを巧みに使い分けている。本作はラップ・ロックの可能性を大きく広げたという意味でも偉大だが、サウンドそのものは全篇にわたって生の演奏によって構成されているのも特徴である。Tim CommerfordとBrad Wilkによる完璧なリズム隊は「Bullet In The Head」や「Township Rebellion」のようなダイナミックなファンク・ナンバーもこなしており、「Killing In The Name」ではロック史に残る緊迫したリフが生まれた。
「Take The Power Back」の歌詞で合衆国を公然と非難したRATMの登場は、ナショナリズムの欺瞞を白日の下にさらし、音楽活動にしろ政治参加にしろ、同世代の多くのリスナーに何らかの行動を起こすきっかけを与えた。デビュー・アルバムでこれほどの影響力を持ち、飛躍を見せたバンドはまれだ。
ℹ️ アルバムのライナーには〈すべての制作過程において、サンプリング、キーボード、シンセサイザーは使用されていない〉という文言があり、これは彼らのキャリアにおいて一貫したモットーになった。