Charles Mingus – At Carnegie Hall (1974)
Mingusグループの同窓会? これはそんなに生やさしい代物ではない。まるで取っ組み合いの乱闘のような一大ジャム・セッションである。
1974年の1月に行われたカーネギー・ホールにおけるCharles Mingusのコンサートは、George AdamsやDon Pullenらを擁していた当時のバンドによる演奏が中心だったのだが、実際にLPとして発表されたのはその中でも際立っていたアンコールの2曲だけであった。かつてのメンバーCharles McPhersonとJohn Handy、そしてRahsaan Roland Kirkが久しぶりにMingusと相まみえるかたちで参加し、熾烈なソロ合戦をステージで繰り広げている。
「C Jam Blues」では、MingusとドラマーのDannie Richmondが繰り出すスインギーなビートの上で何本ものホーンが独創性を競い合う。モーダルに登場したHandyのソロ。それに呼応するかのようにAdamsは「Freedom Jazz Dance」のフレーズを引用し、フリーキーなブロウで舞台をかく乱する。かと思えば、続くKirkはAdamsに応えて「A Love Supreme」のテーマを持ち出し、さらにお得意の循環奏法による超ロング・ブレスで会場の空気をかっさらっていく。Jon Faddisの巧みなミュート・トランペットはこの熱気の中で不気味に屹立しているが、ラストでメンバー総出のカオスになだれ込んでいく様はやはりMingusらしい。
「Perdido」はますます手が付けられなくなったKirkの優勢となる。Mingusはセッションを支配しつつも時おりリズムへ変化を加え、Pullenのピアノはバッキングとは思えない攻撃性で存在感を見せつけている。とくにこの曲の終盤における彼のソロは実にダイナミックで美しい。
2020年代に入って発表された、2時間以上に及ぶコンサートの完全盤も必聴だ。20分に及ぶ名曲「Fables Of Faubus」のほか、ジャングル・ビートを取り入れた変わり種「Big Alice」も聴くことができるが、いずれもすさまじいエネルギーだ。