Scrapper Blackwell – Blues Before Sunrise (1960)
Duncan Schiedtは多くのジャズマンを撮影したことで知られる写真家だが、彼のもう一つの功績で挙げられるのは、自らが敬愛したギタリストFrancis "Scrapper" Blackwellの晩年の演奏を積極的に録音したことだ。Blackwellは戦前のブルース・シーンにおいて、ピアニストLeroy Carrとの黄金のコンビで傑作を連発したプレイヤーだったものの、若くしてCarrが病死してからはヒットから遠ざかり、本作が録音された当時はほとんど忘れられた存在になっていた。
本作のレパートリーにはCarrと歌った懐かしのナンバーが並ぶ。「Blues Before Sunrise」、「Shady Lane Blues」はいずれもオリジナルからはテンポがいく分遅くなり、Blackwell自身のボーカルも枯れた味わいがある。それと同時に生々しいギターの音色は老境に入ったすごみを聴く者に感じさせる。
他にも「"E" Blues」のようなお得意のインスト曲や「Goin' To Jail About Her」といったアップテンポなブギーもあり、渋いだけのアルバムにはなっていない。また、「No Good Woman Blues」はライターとしてCarrがクレジットされてはいるが、実際はBlackwellがCarr以外のピアニストと組んで発表したブルースの再演である。
注目は1959年にインディアナポリスのコンサートで録音された「How Long Blues」のライブ音源だ。ここでBlackwellは見事なピアノ・ソロを披露している。この曲は彼がCarrとのコンビでレコーディングした最初の歌だった。