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dr_kobaia
Xhol Caravan – Electrip (1969)
アメリカのR&Bに影響されたSoul Caravanは、アルバム『Get In High』では典型的なソウルにサイケデリックの風味を添えて聴衆を踊らせていたが、Xhol Caravanと改名した後はかくも狂気じみたジャズ・ロックへと変貌してしまった。きっかけはFrank ZappaとPink Floydのドイツ公演を聴いたことだったそうだが、彼らの影響力には感服せざるを得ない。
「Electric Fun Fair」の冒頭で流れる水洗トイレの音は名刺代わりである。ミュージック・コンクレートを交えながら繰り広げられるジャムは、実験性とユーモアを押し出しているが、それにはSoul時代に培われたブラック・ミュージックの確かな裏付けがある。Tim Belbeのサックスにはフリー・ジャズの外連味とファンクの熱狂が表裏一体で備わっており、Öcki Brevernは初期のPink FloydやThe Doorsを思わせるオルガンでそれに応じる。B面をほとんど埋める「Raise Up High」はがなりたてるシャウトとホーンのフリークアウト、そして唐突なテープの逆回しで構成されている。
Xhol Caravanはさらに改名を重ね、Xhol名義でさらにアルバムを発表している。クラウトロック的という意味で言えば、バンドの最高到達点はおそらくファンク性さえかなぐり捨てた『Motherfuckers GmbH & Co KG』だが、本作にはソウルとアヴァンギャルドの取り合わせが生む刹那的で危うい魅力がある。