Hank Mobley & Lee Morgan – Peckin' Time (1959)
いつもはファンキーに決めるHank Mobleyだが、数ある彼の名演の中でも特にハード・バップの神髄に迫っているのが1958年2月に行われたセッションだった。Paul ChambersとCharlie Persipのリズム・セクション、そしてピアニストのWynton Kellyを含めた全員を触発したのが、もう一人のリーダーである若きLee Morganの縦横無尽なトランペットなのだとしたら、それはまさに驚異だ。とはいえ、MobleyとMorganはいくつかのアルバムですでに共演を重ねていたうえに、メンバーの多くがかつてDizzy Gillespieのバンドの出身者でもあった。そうした団結が本作に通底する一体感の源になっているのも間違いない。
「Speak Low」はMorganの堂々としたテーマからMobleyのソロにバトンタッチする流れが見事だが、この40年代のミュージカル曲を除いたすべてがMobleyの筆によるナンバーである。「Peckin' Time」ではLee Morganのソロのアイデアがこんこんと湧き出ているさまが心地よく、「Stretchin' Out」はMobleyのオリジナルの中でも傑出したかっこよさだ。ゆったりとしたブルースの中にハード・バップのエッセンスを詰め込んだような「Git-Go Blues」のMorganのプレイも特筆に値する。
ジャケットは音源のマスターを納めたカバンをモチーフにしたものだ。なるほど、これだけの名演ならば丁重に扱うべきである。