Ruby Braff Quartet – Ruby Braff Swings (1955)
ベツレヘム・レーベルにおけるデビュー作である『Ruby Braff Swings』が発表された1955年は、Ruby Braffの躍進の年だった。ダウン・ビート誌の批評家新人賞を獲得し、いわゆる中間派(もはや死語だ)の旗手として、往年のジャズ・ファンを中心に大いに注目されるようになった。クールやハード・バップといった時代の主流に流されずに、ディキシーの伝統をしっかりと受け継ぐ彼の姿勢が評価されたのである。
「Struttin' With Some Barbecue」はBraffの敬愛するLouis Armstrongのナンバー(作曲は妻であるLil Hardin Armstrongによるもの)で、ワン・ホーンを活かした抜けの良さと、しなやかなスイング感がたまらない名演だ。Braffのプレイは「Blue And Sentimental」のようなしっとりしたバラードから、機敏さに富んだ「This Can't Be Love」に至る多くのスタンダードを、実に素直な音色で料理する。巧みなタッチでBruffに絡むJohnny Guarnieriは、かつてArtie ShawやLester Youngといった巨人とプレイしていた超実力派のピアニストである。
Leonard Featherからはその才能を〈ジャズ界に新たに生まれた宝石〉とまで讃えられたBraffは、メインストリーム・ジャズだけでなく初期ベツレヘムの顔にもなった。同年にはレーベル主催のコンサートがライブ・アルバム化され、10インチ・アルバムのセッションからは複数のコンピ盤が生まれている。