Grand Funk Railroad – All The Girls In The World Beware!!! (1974)
RaspberriesやThree Dog Nightを手掛けポップ・ロックの歴史に名を刻んだ名プロデューサーJimmy Iennerと、骨太なサウンドで知られるGrand Funkが出会ったらどんなサウンドが生まれるだろう?ふたを開けてみれば、最高に乗れるアリーナ向けのキラー・チューンだけではなく、ボーカルに歪みを効かせた実験的かつサイケデリックなブルースまで飛び出す面白いレコードが誕生した。人をおちょくったジャケットに詰め込まれた彼らの本気のサウンドは、しっかりとリスナーに受け入れられた。
R&BグループSoul Brothers Sixの代表曲だった「Some Kind Of Wonderful」は、後半のゴスペル・ライクな盛り上がりがとにかく素晴らしい。Mark Farnerがハードなギタリストであると同時に優れたソウル・シンガーでもあるということを改めて証明し、国内のR&Bチャートにも食い込んたこの曲は、すこしだけ大人びたラブ・ソングの「Bad Time」とともにビルボードでも上位に上り詰めた。
力強いブラスをフィーチャーした「Wild」と「Look At Granny Run Run」、「Closer To Home (I'm Your Captain)」を思い出させるしっとりとしたバラード「Memories」も印象的だ。そしてなにより、Craig Frostがオルガンだけでなくパーカッションも務めたタイトル曲「All The Girls In The World Beware」は、メンバー4人がとことんファンキーなグルーヴを追求している。これはまるで彼らのグループ名が決して偽りなどではないことを主張しているかのようにも聴こえる。アルバムはバラエティに富んで、どの曲にも徹底したポップさが盛り込まれているが、奇妙なことに「Good & Evil」だけは7分半にわたってうねるようなアシッド・ブルースを展開している。