The Graham Bond Organization – The Sound Of 65 (1965)
Don RendellやAlexis Kornerのグループを渡り歩いたGraham Bondは、もともとピアノとサックスをこなすマルチ・プレイヤーだった。ドラムのGinger Baker、ベースのJack Bruceを引き連れてKornerから独立したBondは、メンバーとグループ名を少しずつ変えながらスタジオとステージを問わず活躍していく。テナー・サックスのDick Heckstall-Smithを迎え、名前もOrganizationになったとき、グループはまさに黄金のメンバーとなった。スインギン・ロンドンにおけるジャズ・R&Bシーンを象徴するアルバムとしては、『The Sound Of 65』はGeorgie Fameの『Rhythm And Blues At The Flamingo』と並ぶ名盤である。
収録された曲はオリジナルとカバーが半々の割合だ。いくつかの曲は後のメンバーの活動を知る人なら思わず顔がほころんでしまうに違いない。例えば「Neighbour Neighbour」や「Early In The Morning」は、BruceとBakerがソロのジャズ・ロッカーとして独立した時代に、それぞれのアルバムで取り上げる重要なナンバーだ。長さこそ3分に満たないものの、「Oh! Baby」はCreamの「Toad」のひな形ともいえる一曲で、Bakerのパワフルなドラム・ソロがこの時から確立されていたことがよくわかる。
彼らのライブでは定番中の定番だった「Wade In The Water」は、Bondの高ぶったオルガンが印象的で、ところどころサイケデリックを先取りしたサウンドを聴かせる場面もある。だが、特筆すべきは渋いブルース・シンガーとしてのBondの力量を示す2曲だ。「Hoochie Coochie」は後年黒魔術に傾倒する彼を暗示させるし、「Got My Mojo Working」を包むドライブ感と締めのコール・アンド・レスポンスはいつ聴いても素晴らしい出来だ。
とはいえメンバー全員の実力と個性がかっちりと噛み合っていた時間は決して長くなかった。同年発表のセカンド・アルバム『There's A Bond Between Us』を最後にBruceは脱退している。