Modern Jazz Quartet – Django (1956)
Modern Jazz Quartetが名曲「Django」を吹き込んだのは、12インチLPである本作が発表される2年前の、1954年の暮れの出来事だ。53年から55年の間に行われた初期MJQのセッションの内容(プレスティッジの10インチ盤に収められている)を、実に完璧な選曲でまとめたのが、この56年版のアルバム『Django』である。
作曲のJohn Lewisは、かねてからクラシックの要素とブルースのフィーリングを融合させるというアイデアを実践していた。彼がMiles Davisの『Birth Of The Cool』に提供した何曲かはその一例だが、ベルギーのジャズ・ギタリストDjango Reinhardtの死を悼んで書かれた「Django」は、そうした手法の完成形といっていい一曲である。穏やかなメインテーマに始まるこの曲は、Milt JacksonのヴィブラフォンとLewisのピアノが見事なソロを繰り広げるが、悲しみを湛える中にもブルースの熱が確かに感じられる。
「La Ronde Suite」は、もともと「La Ronde」のタイトルで彼らの最初の10インチLPに収録されていた3分程度の曲を、メンバー全員にスポットを当てた組曲として練り上げたナンバーだ。Kenny Clarkeのハード・バップの空気を感じさせる印象的なドラムがJacksonのヴァイブの激しさと呼応し、とても熱いアンサンブルが展開する。一方「One Bass Hit」ではPercy Heathのベースから曲の導入が始まるのも洒落がきいている。ジャズの定番「Autumn In New York」とオリジナル曲の「Milano」はどちらも物悲しいバラードの名演だ。