Gass – Juju (1970)
Fleetwood Mac脱退後のPeter Greenが参加したことでも知られるThe Gassは、実は1960年代の中期から活動していた息の長いバンドである。彼らの貴重な初期のシングル曲「I Don't Know Why」はUKモッド・シーンをとらえた『Modstock 21st Century Club Classics』というコンピ盤で聴くことができるが、70年に発表されたアルバム『Juju』と比較すると、ロンドンで研鑽を重ねた彼らがいかに多彩な音楽を吸収してきたかを感じることができる。
中心人物であるRobert Tenchのソウルフルなボーカルを中心に、ブルースとファンク、そしてラテンのリズムまで飛び出すごった煮的ジャズ・プログレだ。Greenはヘヴィなロック・チューン「Juju」とサイケデリックなバラード「Black Velvet」に参加し、彼の実験作『The End Of The Game』のヒントとなるようなワウ・ギターを披露する。「Yes I Can」では目まぐるしい音楽の展開の中でDerek AustinのピアノやMike Piggottのバイオリンの見せ場をしっかりと作り出し、ラストの「Cool Me Down」はタイトルと裏腹に南半球の熱いグルーヴを追求している。
The Gassは演奏の実力を買われてミュージカル音楽の録音などにも携わったが、結果的にこの唯一のアルバムが彼らの音楽の集大成となった。解散後Jeff Beck Groupにも加入したTenchはブルースマンFreddie Kingの傑作『Burglar』にも参加して存在感を示した。