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Pozo Seco – Shades Of Time (1968)

 The Pozo-Seco SingersはLofton Klineの脱退のあと、Pozo Secoと名前を改めて再出発した。写真家W. Eugene Smithの〈The Walk To Paradise Garden〉を引用したジャケットもあいまってか、1968年の本作はSusan TaylorとDon Williamsのデュオによるアルバムと思われがちである。曲によってはRon Shawが加わっているため、男女3人体制で作られていることに変わりはないのだが。
 とはいえ重要な事実は他にもある。それは本作が控えめで爽やかなフォーク・ロックのサウンドに彩られた美しい作品であること。そして、いくつかの曲がWilliamsのカントリー歌手としての才能が本格的に開花した重要な瞬間を捉えていることだ。
 「You Ain't Goin' Nowhere」はBob Dylanのカバーだが、ベースメント・セッションが世に出る以前だった当時においては、もっぱらThe Byrdsのカントリー・ロック版で知られる歌だった。本作におけるのどかなハープと朴訥としたWilliamsの歌を中心に繰り広げられる温かいコーラスは、Pozo Secoの新境地を示すものだ。「Gotta Come Up With Something」ではオルガンをフィーチャーする一方、「Keep On Keeping On」ではピアノと情熱的なドラムがTaylorのボーカルを魅力的に引き立てている。
 こうした功績は新プロデューサーのElliot Mazerの手腕によるものだ。一方で、前任のBob JohnstonのプロデュースによるLennon-McCartneyの「You've Got To Hide Your Love Away」や、カントリーの古典である「Green, Green Grass Of Home」は、アレンジの幅はあれど、いずれも上質なアコースティック・ポップに仕上がっている。
 巨匠Smithが我が子の後ろ姿を捉えたアートワークは、戦後のアメリカにおける写真芸術の最高峰と称えられる歴史的なショットだ。しかし、そんな傑作に身を包んでも引けを取らないくらい、このレコードの内容もまた素晴らしい。