Ronnie Hawkins – The Hawk (1979)
1976年に開催されたThe Bandの解散コンサート『The Last Waltz』に出演したRonnie Hawkinsは、公演が映画として公開された翌年の79年に、その熱気冷めやらぬ後夜祭のようなアルバムを作った。『The Hawk』にはThe BandのGarth Hudsonのほか、『The Last Waltz』の出演者でもあるPaul Butterfield、ギタリストとして大御所のJames Burtonらを迎えた。だいぶモダンになったサウンドは豊かで温かく、かつてないほどにHawkinsの魅力を引き出すことに成功している。
アルバムは『The Last Waltz』のあの賑やかさをほうふつとさせる。「South In New Orleans」と「Sick And Tired」はノリのいいR&Bで、前者はHudsonの巧みなアコーディオンがHawkinsの歌声を飾り立てる。「Blue Moon Of Kentucky」ではロカビリー歌手としての本領がストレートに発揮される一方、「Something's Been Making Me Blue」では優しく、「Pledging My Love」ではメロウにと、意外なまでに多彩なHawkinsの顔が登場するが、どれも丁寧に作りこまれている。シンセとBurtonのギターがポップに仕上がった「Shelter Of Your Eyes」もまた良い。
ラスト3曲はチェス系やシカゴのR&Bのヒット・パレードだ。「Ain't That Lovin' You Baby」と「My Babe」ではレイジーさとタイトさのさりげない対比が小憎らしく、Chuck Berryの「Let It Rock」はButterfieldの強力なハープと最高のデュエットを演じている。
アルバムとしては1971年にも同名の『The Hawk』という、コティリオン・レーベルから出た作品がある。本作は知名度もセールスもそちらには及ばないが、Hawkinsからかくもポップな側面を引き出したレコードも、また存在しなかった。