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Hank Marvin (1969)

 The ShadowsのギタリストとしてCliff Richardのバック・ミュージシャンを務めるなど、50年代からイギリスのインスト・ロックをけん引する存在だったHank B. Marvinは、The Shadowsが解散した1969年以降はソロやBruce Welchとの新グループでの活動を開始した。自身の名義による初めてのアルバムは、きらびやかなオーケストレイションを従えた上質なイージーリスニング作品であり、バンドにいたころとはまた違ったMarvinの魅力がうかがえる。
 どっしりとしたビートに始まる組曲風のオリジナル「Tokyo Guitar」もあるが、ほどんどは映画音楽やスタンダード・カバーで構成されている。有名な西部劇のテーマ「The Big Country」は、原曲の持っていた雄大なメロディをエレキ・ギター1本で再解釈する名人芸をみせる一方、ドラムは一貫してファンクとロックに徹しており、時おり挟まるパワフルなブレイクも最高にかっこいい!
 「Georgia On My Mind」ではRay Charles版とは異なるストリングスの使い方を見せつつ、ややサイケ風でキレのいい演奏を、そして「The Windmills Of Your Mind」ではアコースティックによる抒情に満ちたサウンドを、と飽きの来ない構成だ。アルバムは、「Sacha」と「High Sierra」というナンバーで締めくくられている。前者は激しいサイケ、後者はフラメンコ風のリズムで聴く者を熱狂させる。この2曲は、Marvinとゆかりの深い名曲「Apache」の作者として知られるJerry Lordanの名がクレジットされている。