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Photo by
dr_kobaia
Love – Forever Changes (1967)
『Forever Changes』はカリフォルニアのサイケ・バンドLove、ひいてはフロントマンのArthur Leeの後の音楽人生を決定付けた。Leeのソロ活動ではPink Floydよろしく、レコードの曲順を再現する趣向のライブもたびたび行われており、本作は彼のライフ・ワークとなったと言っても過言ではない。
もともと正統派なガレージ・サウンドを展開していたLoveのメンバーだが、ドラッグによる体調の悪化やプロデューサーの交代劇でもたつく制作現場の中で、信じられないような美しいサウンドを生み出していった。これはThe Beatlesのような先達のグループが、オーケストラによるストリングスやシンプルなアコースティック・ギターの音色をロックの世界に持ち込んでいてくれたおかげでもあった。
永遠のクラシック「Alone Again Or」ではラテン風のギターと突き抜けるようなトランペットがとても美しく、アシッド・フォーク・ナンバー「The Red Telephone」も同様のアレンジがなされている。「A House Is Not A Motel」はガレージ時代の残り香を感じさせる激しいナンバーで、「Live And Let Live」ではYoung風のギター・ソロも飛び出す。本作に収録された曲は、たとえアコギ1本で演奏しても十分なほど優れたライティングが詰まっている。
今となっては信じがたいが、『Forever Changes』はLoveの当時のアルバムの中では最も売り上げ不振に終わった。本作を最初に評価したのはむしろイギリスの聴衆で、初めて食い込んだ全英アルバム・チャートでは24位に達した。
ℹ️ 本作のプロデュースはもともとNeil Youngが手掛けるはずだった。