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Leon Russell – Leon Russell (1970)

 Leon Russellがこのアルバムでソロ・アーティストとして浮上したのは1970年代に入ってからのことだったが、彼のキャリアは非常に長く、50年代からLAを中心とした重要なスタジオ・セッションに貢献してきていた。
 Denny Cordellとともに立ち上げた自身のレーベルであるシェルターから発表された本作は、Delaney Bramlettをはじめとするゆかりの深いアーティストはもちろん、George Harrisonのようなスターも米英を問わず多く参加した。収録曲は西海岸のスワンプ・シーンを超える影響を与えたナンバーも多い。
 「A Song For You」は特に愛されている名バラードで、Russellがハスキー・ボイスをさらにしぼり出すように歌い上げる。「Delta Lady」や「Give Peace A Chance」はJoe Cockerのファンにもおなじみのナンバーで、「Hummingbird」はB.B. Kingが同年に素晴らしいバージョンを発表している。「Rollin' And Tumblin'」調のオリジナル曲「I Put A Spell On You」などは、セッション中のスタジオの生々しさがそのままパッケージされているような仕上がりだ。
 演奏はピカイチで、ディキシーやゴスペルのにぎにぎしい雰囲気も湛えたこのサウンドこそがRussellの真骨頂だが、若者らしい反骨精神もある。「Old Masters」はBob Dylanの「Masters Of War」をアメリカ国歌のメロディに乗せた問題作で、長いあいだ初期のプレスにしか収録されることが無かったナンバーだ。CDではアルバムの最後に付け足されることも多いが、この曲は「Prince Of Peace」と「Give Peace A Chance」の間に挿入されることでこそ真価を発揮するはずである。