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Luke Polipnick Group – Episodes (2013)
ギターの名手であるLuke Polipnickは、ミニマル・エレクトロニカのユニットから実験的なロック・バンド(おそらく一番有名なのはThe Flying Luttenbachersのメンバーとして)に至る、さまざまな音楽活動を経験している。そんなPolipnickはジャズマンとしては生粋のシカゴ派だ。彼が自身のグループを率いて録音したアルバム『Episodes』は、フリーでありながらも均整のとれたサウンドを見事に表現している。そこには70年代風の先鋭的なアンサンブルを、現代的なポスト・ロックの手法で美しく構築するPolipnickがいる。
冒頭の「Jobbing」からして圧倒的だ。作曲はPolipnickのオリジナルだが、実際はAnthony Braxtonによる前衛ジャズ作品の一部を再解釈したもので、Brandon Wozniakが放つ怒りのようなサックスのソロと、Polipnickの理知的なトーンの対比が光る。バンドの演奏に常に緊張感をもたらしているのはMike Prideの刻む迫力のリズムだろう。彼は〈ノット・ツー〉といった名門レーベルからソロ作を何枚も出している、尋常ならざるドラマーである。次に、ホーンをフィーチャーしたクールなマス・ロック、といった趣きの「Kings Of Golden Valley」を経て、真に自由な「Sputterer」、ベーシストAdam Linzが本領を発揮する「The Albatross」のような、魅力あるジャズ・セッションが展開されていく。
しかし、アルバムのハイライトはラストを飾る「Episodes」だ。16分にわたるセッションの中で曲調は二転三転し、Polipnickの持つ広い音楽的土壌が混然一体となって演奏に表出する。往年の前衛ジャズ・ファンもうなるプレイだ。