Tiger B. Smith – Tiger Rock (1972)
ギターのHolger Schmidt、ベースのKlaus Meinhardt、ドラムのKarl-Heinz Trautからなるサイケデリックなパワー・トリオSecond Lifeは、メンバーはそのままにバンド名をTiger B. Smithに変えたのと同時に、その音楽性もヘヴィさを前面に押し出すスタイルへと変化した。1972年の『Tiger Rock』は、Second Life時代から続くSchmidtのJimi Hendrix風ギター・ソロが、ともすれば霞んでしまいそうになるほどの圧倒的なリフが詰まっている。
タイトル・トラックではスピーカーが粉々になりそうなファズ・ベースと疾走感のあるビートが見事なインパクトを放つ。アルバムには「Tiger Blues」のような典型的なスロー・ブルースもフィーチャーされているが、荒っぽさが増したSchmidtのボーカルは「These Days」や「Everything I Need」のような激しいナンバーで特に活きている。
「To Hell」はワウを思い切り効かせたSchmidtのギターがゆったりとしたテンポの中でさく裂しており、激しいA面のサウンドと見事な対比を生み出している。Trautの徹底したハードなドラムがあるおかげで、緊張が途切れることなく10分のジャムがキッチリと展開されているのも特筆すべき点だ。
グラム・ロック風のジャケはとかく評判が悪いが、スリー・ピース・バンドならではのヒリついた感触を味わうにはもってこいだ。プロト・メタルの収集家にも長く愛されている一枚である。