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May Blitz – The 2nd Of May (1971)

 ナチスによる大戦中の爆撃作戦から名前を採ったMay Blitzは、もともとBakerlooのリズム隊を務めたTerry PooleとKeith Bakerに、カナダ人ギタリストのJames Blackを加えたトリオだった。しかしPooleとBakerが早々に脱退し、Reid HudsonとTony Newmanに置き換わったため、オリジナルのMay Blitzの音源は残されることはなかった。
 ヴァーティゴ・レーベルから出た彼らの2枚のLPは、セールスこそ挙げなかったが、初期ハード・プログレの理想形と呼ぶべき金字塔だ。時にダウナーだったりロマンチックな面も見せる荒々しい音楽は、何十年もの時を経てドゥーム・メタルのバンドにまで影響を与えている。
 ジャケットのインパクトや楽曲の粒ぞろいな感じでは1970年のファーストに軍配が上がるかも知れないが、『The 2nd Of May』にはバンドの最高傑作である「For Mad Men Only」が収録されている。Newmanの疾走するドラムにHudsonの太いベースが乗った極上のグルーヴがあり、さらにその上をBlackのブルース・ギターが暴れまわる。余計な展開を広げず思い切りのいいヘヴィ・ロックに仕上がったこの曲は、The HeadsやChurch Of Miseryといったディープなバンドがカバーし、敬意を表している。
 「The 25th Of December 1969」はその明るい曲調が不気味さに拍車をかけたサイケ・ソングで、「8 Mad Grim Nits」はライブ向きのジャズ・セッションである。「"In Part"」の中でHudsonは実にファンキーなベースを披露し、一方アコースティック・ナンバーの「High Beech」では穏やかな一面をのぞかせる。アルバムの最後を飾る「Just Thinking」は、「For Mad Men Only」とは対極に思える内省的なバラードだ。
 3人の中で後に成功を収めたメンバーは、Jeff Beckとの作品で既に名を上げていたNewmanだけだった。May Blitz解散後のNewmanは、Three Man Armyといったハード・ロックだけでなく、David BowieやT. Rexを含む重要なセッションに幅広く参加している。