見出し画像

Duran Duran – Duran Duran (1981)

 Duran Duranはグラム・ロックが追求した退廃的な美学を継承し、ニュー・ロマンティックの波に乗って80年代の音楽シーンに登場した。フロントマンであるSimon Le Bon(意外なことに一番最後にバンドに加入したのが彼である)の色気のある歌声と美しいシンセ・ポップのサウンドは最高に相性が良かったが、Duran Duranはそこへさらにディスコ・ファンクのうねるようなグルーヴを取り入れた。またMTVの隆盛という時勢にも乗って強力なPVを生みだし、エロティックな「Girls On Film」や示唆的な内容の「Planet Earth」は観る者に大きな衝撃を与えた。
 彼らの初期の音楽性は特にJapanの影響を受けていると評されることが多いが、「Sound Of Thunder」のイントロを一聴すればそれも無理のない話だと思うだろう。とはいえ、UK盤の開幕を飾る「Girls On Film」の個性は、今でも際立って聴こえる。イントロにおけるリズミカルなシャッターのSE、Roger TaylorによるソリッドなビートとAndy Taylorのカッティング・ギターが活きた傑作だ。「Planet Earth」の放つ疾走感と「The Night Boat」の漂うような雰囲気は、アルバム全体を俯瞰した時に見事なコントラストを生み出している。「Tel Aviv」は80年代らしいサウンドに、一見不釣り合いなストリングスを惜しげもなく盛り込んだ挑戦的な仕上がりだ。
 Duran Duranがセカンド『Rio』で時代を象徴するグループになったことには疑問の余地が無いが、彼らの個性が最初から完成されたものであったことは本作が証明している。