Elvin Jones – Youngblood (1992)
Elvin Jonesの『Youngblood』は1990年代のあらゆるジャズ・アルバムのリストから外すことのできない一枚である。参加したメンバーについて触れると、ベテランのベーシストGeorge Mrazに、Javon JacksonとJoshua Redmanという二十歳そこそこのテナーマンが顔を合わせたお馴染みのピアノ・レス編成で、そこに加わるトランぺッターNicholas Paytonにいたっては、当時まだ未成年だった。齢60を超えるJonesは、若いプレイヤーたちを圧倒的なスケールのドラミングで誘発し、自身もソロの中でさらなる高みへ到達している。早い話が、〈Youngblood〉とはColtrane Quartet時代の伝説をはるか後ろに置き去りにするJones自身のことなのだ。
Jacksonのペンによる洗練されたハード・バップ「Not Yet」や「Angel Eyes」でのRedmanの極上のソロ、そしてPaytonの風格さえ漂わす「Body And Soul」の見事なブロウは、彼らの若さに不釣り合いなほどに堂に入っていて、「Strange」での飽和したようなJonesのドラミングの荒々しさとコントラストを生み出してしまうほどだ。だが本作で最も素晴らしいナンバーは、7分以上に及ぶドラム・ソロで構成された「Ding-A-Ling-A-Ling」だ。続く「Lady Luck」は濃密な合奏とソロの応酬で構成されたもう一つのハイライトで、このぞくぞくするような緊張感はさながらCharles MingusのThe Jazz Workshopのそれによく似ている。