Jackie McLean – Capuchin Swing (1960)
Jackie McLeanは、プレスティッジ・レーベル時代の演奏スタイルがCharlie Parkerとやたらに比較されることには、もう我慢がならなかったようだった。ブルーノートに移籍してからハード・バップの旗手として華開いたMcLeanにとっては、『Capuchin Swing』はBlue Mitchellのトランペットやアフロ・キューバンの刺激的な風をも取り入れた新たな作品なのだが、同時に1962年の傑作『Let Freedom Ring』へ続く最初のステップともいえる。
当時のMcLeanが最も強く意識していたのはOrnette Colemanだが、本作では彼の影響はかすかに感じられるのみで、魅力の大部分はMitchellとのホーン・アンサンブルがもたらす妙味にある。特に冒頭の「Francisco」は素晴らしく、スピーディなテンポで繰り出されるサックスのソロは時に鮮やかであり、時にフリー感覚に満ちたとげとげしさも感じさせる。個性的なピアニストWalter Bishop, Jr.によるトリオ演奏（「Don't Blame Me」）が収録されているのは一見意外だが、Bishopは「Just For Now」や「On The Lion」の作曲も務めてMcLeanに貢献していることを踏まえれば、納得かもしれない。タイトル・トラックの「Capuchin Swing」で聴かれるソロは、スイングといいながらも同年の『Swing, Swang, Swingin'』におけるスタンダードなプレイよりいささか挑戦的だ。
ブルースを個性的にそしゃくした『Bluesnik』、ソロの自由度がさらに深化した『A Fickle Sonance』と、アルバムを追うごとに変化を感じられるのがこの時代のMcLean、ひいては60年代ジャズの面白さである。